「ワーケーション」とは、「work(仕事)」と「vacation(休暇)」を組み合わせた造語です。
このスタイルは、つい最近生まれたものではなく、2000年代に新しい働き方の一貫としてアメリカから始まったとされています。
そして実際に、2015年のThe Wall Street Journal 日本語版では『あなたもいかが?米で増える「ワーケーション」』という記事が掲載されているそうです。
また、日本で注目される大きなキッカケになったのが、2020年7月、菅首相(当時は官房長官)が観光戦略実行推進会議において話した内容です。
「リゾート地、または温泉地などで余暇を楽しみつつ仕事をするワーケーションは、新しい旅行や働き方のスタイルとして普及に取り組んでいきたい」。
「感染対策をしっかりと講じているホテルや旅館にかぎり、『Go Toキャンペーン』で宿泊代金の支援を行う。感染対策と経済活動の再開の両立という基本方針に沿って、うまく活用していただきたい」。
さらに、副業解禁の流れもあって、「ワーケーション」実施に向けた環境整備を進める企業が増えたのも事実。オフィスのフリーアドレス化を実施し、場所にとらわれない働き方を進めている会社も増えました。
現在、民間企業だけではなく、自治体でも下記のような取り組みが行われています。
▼和歌山ワーケーションプロジェクト
https://wave.pref.wakayama.lg.jp/020400/workation/
▼千曲市ワーケーション ウェルカムデイズ
https://furoshiki-ya.co.jp/chikuma/wwd/
▼八丈島ワーケーション
https://www.hachijo.gr.jp/workation/
一方で、3回目の発出となった緊急事態宣言の影響もあり、人流を止めるという観点から、現段階では「ワーケーション」を積極的に実施できない状況です。
しかしながら、飲食業とともに苦境にあえぐ観光業界。官公庁の統計では、国内旅行の延べ宿泊者数は20年2月以降、前年同月比でマイナスが続き、5月には85%減まで落ち込んでいます。
働き方改革の最新モデルであり、観光の新市場である「ワーケーション」は、苦しい観光業界にとって、これから数少ない貴重な希望になるかもしれません。
とはいえ、いくつか課題があることも事実です。
実際に【都内のカフェなどでもやれる仕事を、わざわざお金を払ってまで、リゾート地などでやる意味はあるのか?】という声もよく耳にします。
私自身、この意見と同じで、それだけでは普及しないと考えています。
『コワーキングスペースを用意しました。
こちらを活用して自由に仕事をしてください。
近くに美しい自然があるので自由に休憩してください。』
これだけでは、わざわざお金を払ってワーケーションに行く価値が弱いのではないかと思っています。
前述した「千曲市ワーケーション ウェルカムデイズ」では、下記のような取り組みを行っています。
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▼千曲市ワーケーション ウェルカムデイズ
https://furoshiki-ya.co.jp/chikuma/wwd/
(サイト内から抜粋)
自然豊かで多くの絶景ポイントと優しい温泉がある長野県・千曲市で「ゼロ・カーボン」をメインテーマにワーケーション・ウェルカムデイズを開催します!
元の農家さん監修、機械を使わない田植え・農作業、温室効果ガスの発生が少ないヴィーガン料理(信州郷土料理)のBBQ、水素自動車からの電力での仕事など、長野県の資源を活かしたカーボンニュートラルな生活をワーケーションで体験できます。
ゼロ・カーボンにつながる信州での暮らしを体感し、脱炭素社会に向けて二酸化炭素排出量削減に繋がる「実践」と「学び」を盛り込んだ8日間となります。
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SDGs 世界を変えるための17の目標にある…
【8|働きがいも 経済効果も】だけではなく、
【7|エネルギーをみんなに そしてクリーンに】
【11|住み続けられるまちづくりを】
【14|海の豊かさを守ろう】
【15|陸の豊かさを守ろう】
こういった取り組みに「ワーケーション」を変えていくことができれば、わざわざ都心から行く価値をつくることができるのではないか、とも考えています。
この課題については、引き続き、私自身、考えていこうと思います。
(つづく)